第一章 医薬品の採用

1、採用医薬品の選定

①安全性に関する検討
『安全対策の必要性に関する検討』
・新規医薬品の採用に当たり、添付文書を熟読し、禁忌事項、注意事項、併用薬、保存方法等を確認しておく。
・さらに必要時、医薬品の注意事項等を製薬会社に依頼する、又は薬局で用意するなどの対応に努める。

②取り間違い防止に関する検討
『名称類似、外観類似品に関する検討(後発医薬品も含む)』
・新規採用にあたり名称類似、外観類似品医薬品があるかどうかを確認する。特に後発品の場合は、類似品の採用を可能な限り回避する。
・頭文字3字、語尾2文字あるいは頭文字と語尾の一致するものを採用する場合は取り間違い防止のため、棚位置を離すなど間違い防止等の対策を行う。
・包装や容器、薬剤本体(色調、形、識別記号等)の類似した既採用医薬品がある場合も、上記同様の対策をとる。
『小包装品等の採用』
・充填ミスを防止するため、充填の必要のない包装品(特に散剤)を採用する。

第二章 医薬品の購入

①医薬品の発注
『医薬品の正確な発注』
・医薬品の商品名、剤形、規格単位、包装単位の記載のある発注棒が入った最後在庫単位が開封された時(少量在庫については通常使用量を下回った時)発注棒を発注担当者に集める。発注担当者は、規定時間に発注棒をもとに発注する。
・発注後、発注棒は納品があるまでは、発注待ちの箱に保管しておく。

②入庫管理と伝票管理
『発注した医薬品の検品』
・医薬品の納品時に商品名、剤形、規格単位、数量、包装単位、使用期限年月日を伝票と確認する。
・納品後に発注棒による発注品目と商品を照合し、商品に発注棒を入れておく。
『規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第一種、第二種)毒薬、劇薬)の管理』
・商品名、数量、製造番号と現品との照合を行い、納品伝票を保管する。麻薬、覚せい剤原料については、譲渡証の記載事項及び押印を確認し、2年間保管する。
・麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第一種、第二種)、毒薬が納品されたらすぐに所定の場所(金庫等)に保管し、記録簿に薬品名、規格、数量、受取者等を記録する。また、在庫確認も行う。
『特定生物由来製品の管理』
納品書を保管し、製剤ごとに規格単位、製造番号、購入量、購入年月日を記載して管理する。
『特に安全管理が必要な医薬品(要注意医薬品)の検品』
・医薬品名・名称類似・外観類似・規格違いに注意する。

第四章 調剤室における医薬品の管理

①保管管理
(1)医薬品棚の配置
『類似名称、外観類似の医薬品のある場合の取り違い防止対策』
・名称や外観が類似している医薬品の取り間違いを防止するため、棚位置を離し必要に応じ「○○と取り違い注意」の注意表示を行う。

『同一銘柄で複数規格のある医薬品に対する取り間違い防止対策』
・同一銘柄で複数規格ある医薬品には、「規格注意 mgあり」の注意表示を行う。

(2)医薬品の充填
『医薬品の補充や充填時の取り間違い防止対策』
・医薬品棚の補充は指差し、声出し確認で目と耳の確認を行い十分注意する。
・散剤瓶への補充は散剤監査システムを利用し医薬品包装バーコードと散剤瓶バーコードを照合して行う。またその際に発行される記録用紙(医薬品名、実施者が記録されているもの)を他の薬剤師に確認してもらう。
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬(第一種、第二種)、毒薬、劇薬)
『麻薬及び向精神薬取締法、薬事法等の関係法規遵守』
・麻薬管理簿に、納品の都度、薬品名、数量、年月日、受入者名を記録する。また払い出しの都度、使用患者名、医薬品名、数量、調剤者名を記録する。

『適切な在庫数、種類の設定』
・規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬)については受払状況を随時確認し適切な在庫数、種類の設定に努める。

『定期的な在庫量の確認』
・規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬)の在庫数、帳簿残量、コンピューター在庫と照合し、在庫の確認を定期的に行う(月末)。

『他の医薬品と区別した保管、施錠管理』
・規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬)は調剤室の金庫等所定の場所に施錠し保管する。

『盗難、紛失防止の措置』
・規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬)は、調剤室の金庫等所定の場所に保管し常に施錠し鍵をつけたままにしない。
・一日の業務終了後、すべての保管庫に施錠されていることを確認し調剤室入り口を施錠し防犯管理システム(セコム)を作動させる。

(4)特定生物由来製品
『使用記録の作成、保管』
・特定生物由来管理簿に患者名、使用日、医薬品名(規格、血液型も含む)使用製造番号、使用量を記録し20年間保管する。

(5)特に安全性が必要な医薬品(要注意薬)
『他の医薬品と区別した管理』
・リタリン、ハルシオンなど盗難の危険性の多い医薬品は特に注意し施錠できる引き出しに保管する。

②品質管理

『有効期限、使用期限の管理』
・毎年8月、棚卸時に定期的な有効期限、使用期限を確認する。
・年3回(5月、10月、12月)にコンピューターによる使用頻度の少ない医薬品をピックアップして有効期限、使用期限を確認する。
・処方頻度の少ない医薬品は、調剤する時にも有効期限を確認する。

『医薬品ごとの保管条件の確認・管理』
・新たに医薬品を採用する際には、温度、湿度、遮光等に関する医薬品ごとの保管条件を確認し適切な場所に保管する。

『必要に応じた品質確認試験の実施』
・不良品(異物混入、変色等)発見した場合は、必要に応じ購入先、または製薬会社への問い合わせをし、対応する。

第四章 患者への医薬品の使用

①患者情報の収集、管理、活用

『患者情報の収集、管理』
・患者の薬物治療における安全性を確保するために必要な情報(既往歴、妊娠授乳、副作用歴、アレルギー歴、他科受診歴、併用一般用医薬品、健康食品、煙 草、アルコール等の嗜好品、運転の有無等)を初回受診時にアンケートにて収集し、以降随時更新し、調剤、服薬指導に活用する。
・小児(15歳以下)の患者と高齢者で低体重の患者に対しては、体重についても情報収集する。

『患者情報の活用』
・収集した患者情報は、電子薬歴システムに入力して管理し、調剤、処方監査服薬指導において活用する。

②調剤

(1)処方監査
無理な判読、判読間違いは重大な事故の原因になるため、慎重に確認する。

『処方せんの記載事項の確認』
・処方年月日、患者氏名、性別、年齢、医薬品名、剤形、規格、含量、濃度(%)、用法、用量(特に小児、高齢者)等を十分確認する。
・特に毒薬、劇薬など薬理活性の高い医薬品、抗がん剤、血糖降下剤などは慎重に確認する。
・投与期間(特に休薬が設けられている医薬品や服用期間の管理が必要な医薬品、定期的な検査が必要な医薬品等)に注意する。
・常用量、最大量、慎重投与、相互作用、配合変化などの確認はコンピューター監査システム又は添付文書を活用する。

『患者情報に基づいた処方内容の確認』
・重複投与、投与禁忌、相互作用、アレルギー歴、副作用など患者情報・薬歴に基づき処方内容の確認を行う。

(2)疑義照会
処方内容に疑義のある場合には処方医への問い合わせを行い必ず疑義が解決されてから調剤を行う。

『疑義内容の確認』
・疑義照会の方法は医療機関の方針に従い、電話またはFAXで行う。

『疑義照会後の対応と記録』
・照会内容、処方変更の内容、照会者及び回答者、照会時間を処方せん備考欄及び調剤録に記録する。

(3)調剤業務(内服薬、外用薬)
正確な調剤業務は医薬品の適正使用の大前提である。調剤者は調剤過誤がもたらす危険性を常に意識し、必要に応じた業務環境の整備、業務内容の見直しを行うことが重要である。

◎患者の安全に視点をおいた調剤業務の実施

『調剤用設備・機器の保守・点検』
・計量器は、薬剤秤量前にゼロ点調節、水平確認を行う。
・計量器は、隔年定期点検する。

『取り間違い防止対策』
・名称や外観が類似している医薬品は取り間違いを防止するために棚位置を離し、必要なら「○○と取り間違い注意!」の注意表示を行う。
・同一銘柄で複数規格等がある医薬品には、「規格注意 mg」の注意表示を行う。

『調剤業務に係る環境整備』
・コンタミネーション(異物混入)の防止、調整時の調剤者の被爆に注意する。必要時、マスク、キャップを使用。
・特に顆粒剤、着色薬剤の分包後は、コンタミネーションを防止するために分包機を丁寧に清掃する。
・漢方薬など、匂いの強い医薬品を分包後は、吸着剤として乳糖で洗い流す。
・調剤台、作業台等は頻繁に清掃し、整理整頓に心がけている。

◎内服薬、外用薬の調剤

『散剤や液剤の調剤間違いの防止対策』
・少量の劇薬を秤量する場合と、小児の薬剤を秤量する場合は再度ゼロ点調節するとともに特に秤量分、分包誤差が生じないように留意する。
・散剤監査システムに、薬品名、用量を記録し、監査しやすいように記録用紙を分包医薬品と一緒にしておく。
・液剤は支援シート薬品欄に秤量を記入し、同様に監査しやすいよう一緒にしておく。
・薬品名、用法、用量はもちろんのこと、均一に分包されているか、異物の混入がないか注意し、調剤する。

『適切な調剤方法の検討』
・半錠は半錠カッターにより調剤する。ただし、例外として半錠カッターでカットできない場合や製剤上粉砕での投薬が望ましいと判断できる場合は粉砕調剤とする。
・錠剤、カプセル剤などの粉砕は「錠剤、カプセル剤の粉砕ハンドブック」に従い行う。原則腸溶錠、効力持続化製剤、徐放化製剤、二層錠、抗がん剤、麻薬な どは半錠や粉砕にしない。ただし医師の求めがある場合はこの限りではない。疑義照会の上、医師の指示に合わせ責任おいて調剤する。
・粉砕は使用した薬剤の空シ-トと一緒にして監査を受ける。

『薬袋、薬剤情報提供の作成』
・薬袋及び薬剤情報紙には、調剤年月日、患者氏名、用法、用量保管上の注意等を適切に記載する。
・一部医薬品については、薬剤情報誌とは別に説明書(メーカー作成用紙、当薬局オリジナル用紙)を同封する。

◎調剤薬の監査

『調剤薬等の確認』
・原則として調剤薬の確認(監査)は、調剤者以外の者が行う。
処方監査は、処方せんと支援シート(薬歴用紙)、調剤薬を照合しながら行う。
・監査手順
1)処方せんと支援シートをつき合わせ入力ミスがないか確認する。
2)処方せん、薬袋、薬情、支援シートの患者情報を確認し、患者コメントにて、監査上の注意事項を確認する。
3)処方せんと調剤薬の付き合わせる。
4)薬品を袋に入れるとき、薬袋の用法、用量、薬品名と薬をつき合わせ、処方順に薬袋に入れる。
5)処方内容を確認しながら、薬袋を薬情とともに処方せん順に並べる。
6)監査終了となった所で、監査印をなつ押印する。

③調剤薬の交付・服薬指導

『患者、処方せん、医薬品、薬袋等の照合・確認』
・調剤薬の交付の際の呼び出しは、受付番号のアナウンスとモニタ表示により行う。
・患者が持参した「お薬引換券」(処方せん受付時に配布したもの)の受付番号と処方せんの患者番号を照合し、患者氏名(フルネーム)を口頭で確認する。

『調剤薬の交付』
・投薬カウンターにて薬剤の実物と薬剤情報提供文章を患者に示しながら説明するとともに、薬品名、薬剤量等を再度確認する。

『医薬品情報の提供』
・薬効、用法、用量及び飲み忘れた場合の対処方法、処方の変更点、注意すべき副作用の初期症状及び発現時の対処法、(転倒のリスク、服薬による眠気、筋力 低下、意識消失など)使用する医療機器、医療材料などの使用方法、その他服用法に当たって留意点(注意すべき他の医薬品や食物との相互作用、保管方法等) などについて、患者の生活習慣、意識レベルを考慮し、適切な個別対応による情報提供、服薬指導を行う。
・特に必要な医薬品に対してはパンフレット、使用説明書等を活用する。

④薬剤交付後の経過観察

『患者情報の収集と処方医への情報提供』
・副作用の初期症状の可能性、コンプライアンス等服薬指導により患者情報は薬歴に記載し、継続して経過を観察確認をする。また担当薬剤師の判断で主治医にも報告し指示に従う。

『緊急時のための体制整備』
・病診連携、薬薬連携等の施設間における情報提供に協力し、情報の交互共有を図る。対応手順は「調剤過誤、事故発生時の対応の手順」マニュアルに順ずる。

『患者等からの相談窓口の設置』
・夜間休日も、携帯電話にて患者からの連絡、調剤の依頼、薬の相談等を受け付ける。なお、受け付けた内容については、後日薬歴に記録しておく。

第五章 在宅患者への医薬品使用

①医薬品の適正使用のための剤形、用法、調剤方法の選択

『剤形の検討と選択』
・患者の様態を考慮した服用(使用)しやすい剤形を考慮し、必要なら医師に助言する。

『用法の検討と選択』
・患者の生活環境(食事、排泄、移動など)を踏まえた用法(使用法)を検討する

『調剤方法の検討と選択』
・一包化、粉砕、簡易懸濁法の可否など患者特性を踏まえた調剤方法を検討する。
・必要時、経管チューブによる投与が可能か否か確認する。

②患者居宅における医薬品の使用と管理

  『医薬品の管理者及び保管状況の確認』
・患者の保管能力に問題があり、管理者の必要性がある場合は家族やヘルパーへの協力を依頼する。
・冷所保存、遮光保存等の適切な保管・管理が行われているか確認する。

『副作用及び相互作用等の確認』
・服用薬について、副作用の初期症状の観察を行う。
・残薬などを確認することで、コンプライアンスの確認を行う。

③在宅患者または介護者への服薬指導

『患者の理解度に応じた指導』
・患者の状態に応じ、表示、表現、記載等の工夫を行う。
・服薬カレンダー、点字シール等の活用も必要時行う。

『服薬の介助を行っている介護者への指導』
・介護を行っている家族等に服用上の注意事項、保管・管理上の留意点、服薬後の症状変化に対する注意等を行う。

④患者容態急変時に対応できる体制の整備

『夜間・休日の対応方法』
・夜間・休日にも緊急の対応ができるよう、携帯電話を設置する。

第六章 医薬品情報の収集・管理・提供

①医薬品情報の収集、管理

『医薬品情報を担当する者の決定』
・医薬品情報収集・伝達は管理薬剤師が主に担当する

『医薬品等安全性関連情報・添付文書・インタビューフォーム等の収集管理』
・担当者は医薬品情報にかかわる書籍、雑誌、パソコン、インターネット環境を整備する。

『医薬品集、添付文書等の作成・定期的な更新』
・担当者等は緊急安全情報や添付文章改訂情報などの情報を収集し、他の薬剤師に随時情報伝達を行う。

②医薬品情報の提供

『緊急安全情報の提供』
・緊急安全情報については,その内容及び対応について各職員へ迅速に伝達する。

『新規採用薬医薬品に関する情報提供』
・新規医薬品については名称、成分名、適応症、用法用量、相互作用 副作用、禁忌、配合禁忌、使用上の注意、管理、保管上の注意、安全上対策の必要性等の情報を随時各職員に提供する。

『製薬企業からの情報』
・製薬企業の自主回収及び行政からの回収命令、販売中止、包装変更についても全職員に情報伝達し、必要に応じ速やかに対応する。

第七章 他施設との連携

①情報の提供

(1)情報の内容

『医薬品情報の提供』
・他施設から求めがあった場合、現に使用している医薬品の名称、剤形、規格、用法用量、一包化など調剤上の工夫、過去の医薬品使用歴、服薬期間の管理が必 要な医薬品の投薬開始日等に関する情報などを提供する。その際、個人情報の取り扱いには十分注意し、患者本人の同意を取ることが望ましい。

『患者情報の提供』
・他施設から求めがあった場合、アレルギー歴、副作用歴及び使用可能な代替薬、禁忌医薬品、コンプライアンスの状況等に関する患者情報を提供する。その際、個人情報の取り扱いには十分注意し、患者本人の同意確認を得ることが望ましい。

(2)情報提供の手段

『情報提供の手段』
・情報提供は、お薬手帳、支援シート、薬剤情報提供書等により行う。
・電話等により情報提供する場合は相手施設、担当者を確認した上で照会内容を文章で送付させ、所属などに虚偽がないことを確認し回答する。

②他施設からの問い合わせ等に関する体制設備

(1)他施設及び薬局への問い合わせ

『問い合わせ手順』
1)他施設へ問い合わせをすることについて、患者本人の同意を得る。
2)電話又はFAXにての問い合わせ、必要であれば文章(郵送)での情報提供を依頼する。
3)問い合わせ施設、担当者、問い合わせ内容、回答を電子薬歴に記載する。

『問い合わせ内容・回答の診療録等への記録・反映』
・問い合わせ施設名、担当者、問い合わせ内容、回答を電子薬歴に記録する。

(2)他施設及び薬局からの問い合わせ

『問い合わせへの対応順序』
1)相手施設、担当者照会内容を確認した上で、所属などに虚偽がないことを確認する。
2)施設からの問い合わせに対して情報提供を行うことについて、患者本人の同意を得る。
3)電話又はFAXにて回答し、必要であれば文章(郵送)での情報提供を行う。
4)問い合わせ施設、担当者、問い合わせ内容、回答を電子薬歴に記録する。

『問い合わせ内容等の診療録等への記録・反映』
・問い合わせ施設名、担当者、問い合わせ内容、回答を電子薬歴に記録する。

③緊急連絡のための体制整備

『地域の医療機関及び薬局との緊急時のための連絡体制』
医療機関からの緊急連絡は、薬局携帯電話又は管理薬剤師の自宅に連絡が入るよう体制整備する。

第八章 事故発生時の対応

①医薬品に関連する医療安全の体制設備

『責任者又は管理者に速やかに報告される体制の整備』
・調剤事故発生時には、速やかに管理薬剤師に報告する。管理薬剤師が不在の場合は、経営者等に報告対応する。

『緊急時に備えた体制の確保』

・職員間の互いの携帯電話番号等の緊急連絡先は最低限控えておく。(緊急連絡も配布)。調剤事故が発生した場合の報告・連絡体制について平常時に確認しておく。
・調剤事故発生時は速やかに医療機関の主治医又は担当医に連絡し、患者情報、事故概略、経過観察など現状報告を行う。
・調剤事故については原則として所属の薬剤師会(支部薬剤師会)に報告しその後の対応等について相談する。
・患者の健康被害は重篤である場合や、健康被害が複数の患者に及ぶと考えられる場合には、都道府県薬剤師会に連絡・相談の上、所轄の行政機関(都道府県、市町村、保健所等)に速やかに報告を行う。

『患者相談窓口の設置』
・調剤事故発生時だけでなく、常に休日・夜間でも患者との連絡が取れるよう常に携帯電話を設備しておく。

『事故発生を想定した対応手順の作成と定期的な見直しと職員への周知』
・「調剤事故発生時の対応マニュアル」を見直し、調剤過誤、事故発生時の対応手順の周知に努める。

『自他施設のヒヤリ・ハット事例(インシデント事例)の収集・分析とそれに基づく事故防止対策の策定・実施』
・調剤で起こった何らかの間違いで、患者に与薬される前に発見されたものは、インシデントとしてとらえ、調剤業務インシデント、アクシデントレポートに報 告し、以降の再発生を防ぐことを目的に朝礼などで随時報告し、防止対策で検討する。また、神奈川県薬剤師会にも報告する。

『医療安全に関する職員研修の実施』
・医療安全に関する職員研修の実施に努める。
・事故事例の発生分析等を分析し今後同様の事故が発生しないように再発防止策を検討する。またミス、過誤、発生時の報告を受けた際には、個人の責任を追及 するのではなく、組織としての再発防止を考えられるような薬局内の体制を設備する。さらに事故を踏まえた薬局内の職員の教育、研修を充実させる。

『薬剤師会との連携体制の確保』
・調剤事故については、原則として所属の薬剤師会(都道府県薬剤師会または支部薬剤師会)に報告し、その後の対応等について相談する。

②事故発生時の対応

『救命処置』
・患者に不利益が及ぶと思われる場合や現に健康被害を訴えている場合は、すぐに受診を促す。管理薬剤師は医療機関の主治医又は担当医に連絡し、患者情報、事故概略、経過など現状報告を行う。

『具体的かつ正確な情報の収集』
・事故(過誤)の一報が入った際には、具体的かつ正確な情報収集に努める。その際には言葉使いにも注意し、不要な発言は避け誠意が相手に伝わるよう留意する。

電話を受けた時点で、まず下記の事項を確認する。
1)患者氏名
2)電話をかけてきた人の名前(本人との関係)
3)電話番号(連絡先、携帯電話など複数確認しておく)
4)どこの医療機関の処方せんか
5)どのような間違いか
6)服用前か後か

服用後であれば
7)服用からの時間
8)患者がどのような状態かを確認する。
救急処置が必要かどうかを判断し、必要な場合は責任をもって受診を促す。

・こちらの処方内容や交付薬剤等確認の上、折り返し電話する旨を伝える。(相手の電話番号を確認し、一度電話を切る)

・折り返しの電話をする前に処方せん記載のすべての薬品と薬歴簿を手元にそろえ、間違いが明らかな場合は、その集めた薬剤に関する情報もあらかじめ収集の上、速やかに対応を行う。

・電話で回答する際には、電話をかけてきた本人であるかどうか確認する。本人以外には説明しない。本人不在の場合は、かけなおすことを原則とし伝言等では 済まさない。本人と話す際には、薬袋の順番に薬剤を確認し、患者の勘違いや交付薬以外の薬剤でないかどうかも確認すが、その際は患者の間違いを疑う態度は 慎み、他には間違いがないか再度、あくまでも事実上の確認を行うためのものであることが伝わるように注意する。

『責任者又は管理者への報告』
・調剤事故発生時は、速やかに管理薬剤師に報告する。管理薬剤師が不在の場合は責任者に報告し対応する。

『処方医への連絡』
・患者・家族からの事故の一報が入った場合、又は薬局で過誤に気づき患者が間違えた薬剤を服用したことが確認された際は、その時点で確認した事項を連絡し処方医の指示を仰ぐ。

『患者、家族への説明(患者・家族への対応ポイント)』
・重要な事実を省かない。間違えた薬が何であったか、それを飲むことによってどんなことが起こる可能性があるかなど、たとえそれが軽微なことであったとしても、その事実はきちんと伝える。
・因果関係を省かない。今起こっていることが間違えた薬による主作用又は、副作用であることが考えられる場合、たとえそれが軽微なことであったとしてもその関係についてはきちんと伝える。
・明快に説明できないことがあれば、率直にそのことを伝える。多少とも不明な点があることについては断定的な言い方はしない。
・事態について異なる見解がある場合はそれについてもきちんと伝える。
・当初の説明と異なることが起こったときはきちんと伝える。
・ミスの事実があれば、結果には影響を与えないと考えられることでも包み隠さず伝える。
・心情に対する適切な配慮をする。

③事故後の対応

『事故事例の原因等の分析』
・個人の責任を追及するのではなく、事故事例の発生原因等を分析し今後同様の事故が発生しないよう再発防止策を検討する。

『事実関係の記録、事故報告書の作成』
・患者の状況や事故後の経過、患者側への説明内容について、経時的に記録を取っておく。特に患者側との話し合いの状況については、いつ、どこで、何を話したかなど、詳しく記録しておくことが重要である。

『再発防止対策あるいは事故予防対策の検討・策定・評価・職員への周知』
・調剤事故の経過や今後の見通し等を薬局職員に説明する。また、併せて職員全体の意識統一を図り、今後の事故予防対策についても検討する。
・管理者は当該事故について、薬局組織として明確な見解等を示し、その域を超えた質問等に対しては開設者の判断をあおぐ。また、取材や患者側弁護士等からの質問については、誤解を招くような回答をしないよう注意する。

『患者・家族への説明』
・調剤事故を起こしてしまったら「ごまかさない」「隠さない」「非を相手に押し付けない」姿勢を基本に、患者側の質問、苦情に対し誠実に、冷静に、かつ客観的に事実を伝えることが肝要であり、最後まで誠意をもって対応する。

『処方医への連絡
・調剤事故が発生した場合は、その状況や対応についての経過を随時主治医に報告し常に医療機関との連絡を取り合い情報を共有する。

『関係機関への報告、届出』
・調剤事故については、原則として所属の薬剤師会(都道府県薬剤師会または支部薬剤師会)に報告し、その後の対応等について相談する。
・患者の健康被害が重篤である場合や、健康被害が複数の患者に及ぶと考えられる場合には、都道府県薬剤師会に連絡、相談の上、所轄行政機関(都道府県、市 町村、保険所等)に速やかに報告を行う。また、保健所などの関係行政機関が行う立ち入り調査等についても、事故の発生原因の解明や再発防止の目的で実施さ れるものであるため協力する。

第九章 教育・研修

①職員に対する教育・研修

『医療安全、医薬品に対する事故防止対策、特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬など)に関する教育・研修の実施』
・事故事例の発生原因等を分析し、今後同様の事故が発生しないよう再発防止のための検討会を行う。
・薬局内の定期勉強会において、事故報告及び事故発生防止のための研修会を開催する。
・薬剤師会主催などの外部講習会、研修会への積極的な参加、インターネットを利用したカリキュラムを受講し積極的な学習に励む。また、会費・交通費などの費用を支給する等学習体制を整える。